こぼれ話

昔ばなし再考

大人にとっての昔ばなしとはどのような役割を担うのでしょうか。

昭和40年代から50年代にかけて、多くの人々に親しまれていた『昔ばなし』が再び注目されています。
子どもに読み聞かせをすることは、親子の脳内活性に効果的であると日本大学の研究チームが科学的に実証したこともあり、 失われつつある大切な日本文化が静かに息吹を蘇らせたのです。

しかし、子どもの情操教育にとって昔ばなしが効果的であることは周知の事実です。
再び昔ばなしが脚光を浴びはじめた現在、注目されているのは『大人のための昔ばなし』の必要性です。

日本人の心とは何か、という問い。
日本人の幸福な生き方とは何か、という問い。

それらの答えは昔ばなしの中に見出すことができると多くの研究家は考えているのです。

日本の昔ばなしの中には、歴史的な大事件や天才・偉人の話以上に、庶民の生活に関わるものが数多く残っています。
そういったかつての人々の生活を知ることは、私たちの伝統や思想を知ることに通ずるものがあるのです。

先人たちの生活を慮り、その生活意識を理解することは、日本人としての教訓や反省を促します。
私たちは昔ばなしを通じて、本来の日本人の姿を知ることができるのです。

とはいえ、もちろん時代は違います。
いくら昔ばなしに着目するとはいえ、過去にしばられてしまうのでは意味はありません。

昔ばなしはあくまで参考書です。
"今"の自分を客観的に眺めるための内省の学とも言えるかもしれません。

日本に残っている昔ばなしの数は、数万とも数十万とも言われています。
まだ知らない話はいくらでも残っているはず。
それらを知ることで、新たな自分を、忘れていた自分を、見つけることもできるのかも知れません。