日本ではじめてのマクロビオティック甘味処 | 夢我人No. 田中 ゆきえさんさん

『マクロビオティック』という言葉をご存知でしょうか。20世紀初めの日本で誕生した【食による健康と長寿】をテーマにした食事法です。特に欧米で強い人気を博しました。

日本で初めてのマクロビオティック甘味処 甘露七福神 (2/2)
甜菜糖(てんさいとう) Sugar Beet

田中さんが通っていたのは、東京の恵比寿にあるクシマクロビオティックアカデミー。このアカデミーの講師に、花田美奈子先生という方がいらっしゃいます。銀座マキシム・ド・パリ、エル・フラメンコなど数多くのレストランをプロデュースしたナチュラルフードの専門家です。

田中さんが甘味処をオープンするに当たって、花田先生はとても親身に相談に乗ってくれました。そして、この花田先生の博識が田中さんの悩みを一気に解決することになったのです。

「純正の甜菜糖を使えば、もしかしたら…甘味ができるかも知れないわね」

『甜菜』って何だ?と思われる方がほとんどではないでしょうか。舌に甘いと書くこの植物は、主に北半球で採れる「さとうだいこん」とも呼ばれるものです。

日本ではあまり知られていませんが、フランスやドイツなどでは砂糖といえば甜菜糖を指すくらい有名で、さとうきびから作られる砂糖とは異なり、精白せずに使うことができる唯一の砂糖なのです。

それを聞いた田中さんは、すぐに信頼できるルートを紹介してもらい、純正の甜菜糖を買い求めました。そして甜菜糖を手に向かった先は、地元巣鴨の『あんこ職人』でした。

もう一人の挑戦、砂糖を使わない餡づくり

『塩大福』でも有名な巣鴨の街には、昭和初期から多くの和菓子職人が暮らしています。田中さんが向かったのは、そんな和菓子職人の一人で、古くからお付き合いのあった佐野さんの家。喜寿を迎え今では隠居していますが、現役の頃はとても人気のあった和菓子屋さんの店主だった方です。

事情を説明して、『砂糖を使わない餡』が求められている理由も理解してもらいました。しかし、半世紀以上にわたって餡と向き合ってきた佐野さんにとっても初めての経験なのです。和菓子を極めた職人として気楽に請け負うことはできません。

成功を約束することは出来ませんでしたが、田中さんからのたっての頼みということもあり、佐野さんは隠居して以来、久々に厨房に立つことを決意します。

いくら甜菜糖が砂糖に近い材料だとはいえ、無理難題には違いありません。それまでの経験を元に、試行錯誤を繰り返さなければなりませんでした。

何しろ単純に『甜菜糖で餡を作れば良い』という訳ではないのです。自分の仕事として取り組む以上、自分が知る最高の餡に匹敵する美味しさにしなければ納得できません。材料の違いを理由に妥協するなど、佐野さんの職人としての意地が決して許しませんでした。

佐野さんはその熟練の技を駆使して、何度も何度も作り直しました

そして…

完成したマクロビオティック甘味。『甘露七福神』オープン

塩あんみつ

職人さんが作り上げてくれた『甜菜餡』は田中さんの予想をはるかに超えた餡でした。田中さんは職人さんへの感謝と同時に、その高度な『仕事』に自らの手を加えることの責任を感じました。

優しい甘さの甘味全国でも稀有な完全有機栽培の小豆や寒天、クコの実などの仕入先も知人の紹介で見つけることができました。マクロビオティックのイメージに合わせて変更した、『和紙』を用いた内装も充実したものになりました。あとは、マクロビオティックを勉強する中で、頭で描いてきた甘味のイメージを形にするだけです。

 

甘露七福神 入り口

『美味しくて可愛くて、体に優しい甘味』

そのコンセプトに沿って、メニューがひとつずつ出来上がっていきます。
甘露あんみつ、白玉ぜんざい、おしるこ、豆乳アイス。そして、地元巣鴨が誇る『塩大福』からヒントを得た『塩あんみつ』等々。

全ての食材が体に優しい有機栽培。
口にした瞬間、まるで精進料理を食べているような神妙な気分になります。そしてその荘厳さの後でゆっくり広がっていく、優しさ。

舌に残らない上品で繊細な餡の甘み。食欲をそそるマツやクコの実の彩り。

そういった感覚を十分に楽しむことのできる、静かで落ち着いた雰囲気の店内。

表通りは喧騒で溢れている時間。
ほんの少し入った路地裏には、『優しい甘さ』と『落ち着く時間』に包まれているお店があるのです。

 

甘露七福神のれん前で

「お客様が増えるのはありがたい限りですけど…行列ができるほどのお店になってしまうと…」
とっても優しい微笑みを浮かべながら、田中さんは続けます。
「待っている人たちを意識して、お客様がゆっくりできなくなってしまう。それでは不本意なんです。」

そんな優しさに溢れる『甘露七福神』がオープンして、しばらく経ちました。週に何度も通ってくれる常連さんには、91歳のおばあちゃんもいらっしゃいます。

別々にお店にいらした初対面のお客様が、いつの間にか同じテーブルでおしゃべりをしている風景もしばしば。

マクロビオティックを目的に来店されるお客様は決して多くはありません。田中さんもマクロビオティックを押し付けるつもりは全くありません。もし少しずつでも広がっていけばいいな…。そんな思いを甘味ひとつひとつに込めています。

田中さんのチャレンジは、多くの人に喜んでもらえる結果となりました。
これからは新メニューの展開や、遠方の方への送付など、など、より多くの人に喜んでもらえるよう、色んなことに取り組んでいく予定です。


専業主婦のチャレンジはまだ始まったばかりです。

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甘露七福神で大評判の塩あんみつ。美味しさの秘訣は半世紀に渡って磨きつづけた『餡職人の技巧』にあり!!

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その他情報

  • 甘味処 甘露七福神

    東京都豊島区巣鴨3-37-5
    TEL:03-5394-3694
    最寄り駅:JR巣鴨駅

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