昭和時代に多くの人々の心を温めていた昔ばなし。あれから長い時が経た現在、そんな昔ばなしが疲れた心を和ませる『幸せな記憶』となっている方も少なくないでしょう。民話の里・遠野において、自慢の歌声と共に昔ばなしの語り部を担う夢我人がいます。
いつしか長い月日が過ぎ、ワキさんの子どもたちも無事に成長して、それぞれの家庭を築きました。 60歳を過ぎたその頃に、自適な生活を送るべくワキさんは地域の老人クラブへと入会しました。 そのクラブは市内の子どもたちに昔ばなしを聞かせるクラブで、定期的に子どもたちとの交流会を開催していました。 ワキさんはそこで、かつて父親が話してくれた昔ばなしを子どもたちに話しました。 何十年ものあいだ遠ざかっていたにも関わらず、父親の昔ばなしはその優しい口調とともにワキさんの脳裏に色褪せることなく残っていたのです。 ワキさんが話す昔ばなしを、子どもたちはノートに書き留めていました。 話のつづきを聞きたがって真剣な眼差しをむける子どもたちをみて、ワキさんは世代を越えた触れ合いの大切さを知りました。 また、自分の脳裏に残っている昔ばなしを、後の世代の子どもたちに残してあげたいという気持ちも強くなっていきました。 文章もなく絵画もない。言葉だけの昔ばなし。 具体的な表現は何もなされません。 しかしだからこそ、聞き手それぞれに果てしなく広がる想像をもたらすことができるのです。言葉から広がる世界は、自分だけのもの。自分だけのものでありながら、同時に他人とも共有できる、そんな不思議な世界。 少しでも多くの人々に父親の昔ばなしを伝え、感動を共有してもらうために、ワキさんは語り部としての活動を本格的に始める決心をしました。
次の夢我人は誰でしょう?