ウィスキー知者 ~There is a will, there is a way~ | 夢我人No. 土屋 守さんさん

近年、世界的なシングルモルトブームを迎えて従来の消費国だけでなくBRICsにおいてもその消費量が著しく上昇しています。そんなシングルモルトの存在が認識されていなかった時代に逸早くその魅力を見出し、人生を賭して探求した夢我人がいます。

終わりなきウィスキー探訪

スコッチウィスキーに惹かれてから、土屋さんは3年ほどでスコットランドにあるほぼ全ての蒸留所を訪れました。
それは土屋さんにとっては、スコットランドにおけるフィールドワーク。
調査して現場を訪問し、自己の中で知識と経験を共存させて熟成させる。
その作業の繰り返しにより土屋さんのスコッチウィスキーへの造詣は深まりました。
そしていつしかその博識と経験量において、右に並ぶ者がいないほどのレベルになったのです。

月刊誌ジャーニーの編集長を4年間勤め上げて、土屋さんは日本への帰路につきました。
帰国後はその英国での経験を生かして、スコッチウイスキー、紅茶、ナショナルトラストや釣りなどの英国ライフスタイルを追求した著書・エッセイ等を多数発表し、1988年にはスコットランドのハイランド・ディスティラーズ社より、「世界のウイスキー・ライター5人」の一人として選ばれる栄誉を得ました。

そして2001年にはスコッチ文化研究所を設立し、その代表を務めながら作家、ジャーナリスト、エッセイスト、写真家、ウイスキー評論家、学習院生涯学習センター講師として活躍しています。

それでも土屋さんは自分がスコッチ・ウィスキーを知り尽くしたとは考えていません。

大体は分かった。でもそれで満足はできない。スコッチの枠を超えて、スコッチ同様に他の4大ウィスキーを知り、それぞれの絡み合いを理解する上ではじめてみることができるスコッチの姿がきっとある。

土屋さんはそう考えているのです。
そして『土屋さんにとってウィスキーとは?』という質問に対して、土屋さんはこのように答えてくれました。

ウィスキーとは…そうですね、私の知的好奇心を満たしてくれる存在。
人生を共に歩んできた友人のような存在。

私はこれまで様々なフィールドを歩んできました。
一生かかってもきっと終わらないという楽しさ。飲むという体験を表現する面白さ。
私にとってこれほど大きいテーマはないんですよね。

30代半ばにして出会ったウィスキーという存在が、私の人生を作り上げてくれた。そう考えています。
そして一生を賭けて探求を続けることで、自分の中での完成型に近づけたいと願っているんです。

さらに今後の構想についてお聞きしたところ、大変素敵な夢を伺うことができました。

私はいつの日か、自分の故郷である佐渡に蒸留所を開くという夢を持っています。
自分がこれまでに培ってきた経験と知識をもちいて、私という個性を生かしたモルトを作ってみたい。

そんなウィスキーを造りながら、傍らで本を書き、大好きな釣りに耽る毎日。
そんな生活ができることを夢見ています。

しかし、確かに夢は見ていますが、まだまだ世界を見なければ。
知らなければならないこと、経験しなければならないことが果てしなくありますからね。

そしてもう一度だけ当時の遠征隊の仲間たちとチベットに行きたい。
あの時の顔ぶれで、あの景色をもう一度見たい。

準備段階から遠征隊解散までの一年半。寝食を共に過ごし、多くのハプニングを乗り越えた。
1976年のあの遠征は私の人生の中でとても大きなウェイトを占めているんです。

今後の目標について、笑顔でそのように話してくれた土屋守さん。
その飽くなき探究心は尽きることがありません。
これからもスコッチウィスキーという枠を越えて、土屋さんのフィールドワークは続いていくことでしょう。

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